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短時間で仕事を終える社員への評価、その実態は?

(写真=Elnur/Shutterstock.com)

経営者のみなさんは、社員がなぜ残業しているか、どのくらい残業しているのかを把握しているでしょうか。経営者なら誰しも、できるだけコストを抑えて社員の方々に高い成果を上げて頂くことを期待したいところですが、今までの人事評価制度ではそれが難しくなっています。

同じ量の仕事を短時間で終える社員と残業をして終える社員がいたとしたら、どちらがより「頑張っている」と上司から評価されるのでしょうか。これからの人事評価では、経営者や上司が「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」姿勢こそが必要です。

なぜ残業するのか

まず、残業とは企業にとってコストであるという意識を明確に持つことが重要です。「残業はある程度、仕方がないものだ」「社員の頑張りの裏返しだ」という意識も、経営者の皆さまの中にはまだ残っているのではないでしょうか。

ところが、社員の立場から考えると残業をするのには「定時に仕事が終わらなかった」というもっともな理由の他にも、いくつか考えられます。

・ 定時で帰ると暇だと思われてしまう、または真面目に働いていないと思われてしまう。
・ 上司、同僚、後輩が残業をしているのに、自分だけ定時に帰るのは悪いような気がする。

なかなか自社の残業時間が減らず、社員が定時に帰れない状況が続いている理由に、社員の「周りの目」を気にする姿が想像できるでしょう。社員が残業をする理由の根底には心理的要因が大きく作用していることがわかります。

一方、残業する社員に対しての上司からの印象にはどのような傾向があるのでしょうか?残業時間の長さを基準にして考えてみましょう。

残業を含めて1日の労働時間が12時間以上の社員に対しては、

・ 頑張っている
・ 責任感が強い

と高評価であることに比べ、残業を含め1日の労働時間が10時間以下の社員に対しては、

・ 頑張っているが仕事が遅い

という対照的な評価が、内閣府の調査から読み取れます。(内閣府「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」(2014年))

これらを考えると、上司からの評価のイメージが社員の労働時間に引きずられており「時間内で生み出した成果」の観点が弱いことがわかります。

残業削減に効果的と分かっていながら実施されていない取り組み

残業削減にむけた効果的な取り組みは主に3つ挙げられます。

・ 計画的な残業禁止日の設定
・ 上司からの声かけ
・ 短時間で質の高い仕事をすることを評価する

この3つの中で、比較的多くの企業で実際に取り組まれているのが「計画的な残業禁止日の設定」と「上司からの声かけ」です。この2つの取り組みに見られる共通点は、鶴の一声で実施できることです。制度設計や手続きの運用など、プロセスに時間を要しないので、多忙な経営者や上司にとって行動に移しやすいということが言えるかもしれません。

一方、「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」は効果的と分かっていながら、ほとんど実施されていません。この取り組みを実施するには、上司が社員の成果の質を的確に判断する評価の能力が必要です。

「残業を2時間した」「残業しない」という目に見える数字を尺度にして評価するのは容易であると言えます。職務内容、職務経験、職務能力が異なる社員の仕事に対しての定量的な成果を評価するのはまだ難しいと言えるかも知れません。

短時間での質の高い仕事を評価する姿勢が必要

月の残業が80時間を超える社員が1人でもいる企業は労働基準監督署の立ち入り対象となりえますので、経営者としては「正社員の長時間労働是正」は無視することはできません。また、過酷な労働環境がアダとなる労災認定のリスクも忘れてはなりません。

まずは「短時間で質の高い仕事をして定時に帰る社員にはプラスの評価をする!」そのような職場の環境づくりから始めることが必要です。

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