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今後の人事業務で求められる「HRテック」とは何か

(写真=everything possible/Shutterstock.com)

情報技術(IT)を使って人事評価や人材の採用・育成などの業務全般を改善する取り組みは「HRテック(HR Tech)」と呼ばれています。人事(Human Resources=HR)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語ですが、世界的に人材管理の分野で注目されています。

膨大な量のデータ解析や機械学習のディープラーニング(深層学習)を比較的簡単に利用できるようになったことが推進の根底です。人事領域のテクノロジーにおいてトップを走るアメリカでは、すでに約20年前から確立しています。ここでは日本でも導入が進むようになった背景や経緯のほか、主な役割や課題を紹介します。

HRテックの具体的な内容と背景

「HRテック」は、人事業務全般の効率化とクオリティーの向上を目指します。人工知能(AI)をはじめ、多彩なIT リソースを必要な時に利用できるクラウドや膨大なデータの解析など、最先端のテクノロジーを用いるものです。HRテックへの注目度は非常に高く、米国のシリコンバレーには多数の関連企業が存在しています。

日本でも人事評価制度やその他の人事業務の自動化など、急速に注目を浴びています。その背景には、次の3つの理由が挙げられています。

・クラウド型サービスの普及
中小企業や新規企業でも初期投資を低コストに抑え、面倒だったデータ移行などでも新バージョンや新機能を容易に利用できることで一気に導入が進んでいます。

・スマートフォンやタブレットなどデバイスの普及
多くの社員がスマートフォンを持ち歩くようになり、同時に使いやすい操作法などのインターフェイスも続々と登場しています。社員自ら所持しているデバイスからの情報収集のほか、データ入力なども可能となり、人事担当者の負担は大きく軽減されました。

・膨大な量のデータを素早く簡単に分析
人工知能や機械学習などの普及で、企業や社員についてのさまざまなデータを蓄積し、意思決定や将来の予測に役立てることも可能になってきています。

日本でも導入が進む背景と経緯

約20年前に「HRテック」の導入が始まったアメリカに比べると、これまでは給与計算など一部の領域を除いて日本での普及は大幅に遅れていました。日本の企業では新卒の一括採用や「年功序列」が一般的で、社員の報酬や昇進の決定なども画一的であり、業務効率化の必要性が高くない状況だったことも一因かも知れません。

こうした中、少子高齢化に伴う人材不足が企業を襲っています。企業競争で優位に立つには優秀な人材を獲得して育成し、貢献してもらうことが最重要課題です。企業にとっては、まさに死活問題といえるでしょう。人材の国際化やイノベーション(技術革新)を起こすための原動力として、多彩な人材を活用するダイバーシティを実現する必要性も高くなっています。グローバルで公平かつ透明性のある客観的な人事評価基準の構築や、報酬や昇進などでも合理的な根拠に基づく人事業務をスピーディに行うことが欠かせないのです。

HRテックの特長と効果

「HRテック」の特長としては、大きく次の3つのカテゴリーに分けることが可能です。

・データの一元管理と分析
・複雑な定型業務の削減とオペレーションの効率化
・社員間の円滑化と組織の活性化

これらにより、今後は将来活躍が期待できそうな有能な人材の見極めを行います。さらに離職の可能性がありそうな人材を検出し、事前に離職防止策を打ち出すなどの将来予測も可能になりそうです。

HRテックが今後担うべき役割や課題

これまで人事担当者の大きな負担になっていた管理や運用、オペレーションなどの業務を「HRテック」が代替するのが社会の流れになってきています。業務の効率化を図り、より精度を向上させるのがHRテックの使命なのです。

今後、HRテックを利用して行うべき業務の本質はどうなるのでしょうか?人工知能の登場やIT革命は、決して人間の価値判断や意思決定までを奪うものではなく、あくまでサポート的な存在です。これからの戦略的な人事は、企業の組織や事業戦略、収益構造などを考慮したうえで、激しい企業間競争で優位性を保つための人材戦略を考えることが求められています。

それにはデータ解析から得られた論理的なデータや解決法を実行に移し、結果に反映させる人事担当者の能力は必須です。企業にもたらすメリットを合理的な根拠に基づいて経営陣に説明し、改善策を管理職や社員にも分かりやすく伝える機会も増えてきます。HRテックの導入で導かれた貴重な指針を有効に活かすことで、企業が競争力を高めることが必要不可欠な時代が到来しています。