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貧困化につながりかねない「非正規雇用」実態や問題点は何か?

(写真=Mohd KhairilX/Shutterstock.com)

非正規雇用が増え続け、それに伴い貧困化も進み、日本社会の社会的格差が広がっていると言われていいます。非正規雇用の収入で家計を支える労働者が増えていますが、企業がコスト削減を重視して非正規雇用を増やした結果、本来は正社員を望みながら、非正規社員として働かざるをえないという現実があるのです。非正規雇用の実態や問題点と是正策、今後の課題などを検討してみます。

正社員と「不合理な相違」で日本郵便に一部勝訴

2017年9月14日、日本郵便で契約社員の男性3人が正社員と同じ仕事をしているが手当などに格差があるのは違法として、約1,500万円の損害賠償を求めました。訴訟の判決においては、東京地裁は訴えの一部を認めました。判決によれば、住居手当や有給の病気休暇がないことなどは「不合理な労働条件の相違に当たる」と判断し、計約92万円の賠償を日本郵便に命じたのです。

2013年に施行された改正労働契約法は、正社員と非正規社員の不合理な待遇の違いを禁止しています。契約社員に、正社員と比べて住居手当や有給の病気休暇がないことを違法と断じた判決は今回が初めてです。こういう不合理な社会的格差の実態が、まだ現実には非正規雇用にあり、裁判所も明確に違法だとしています。

企業が非正規雇用を増やす理由と実態

厚生労働省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」(2014年)によると、企業が非正規雇用を増やす理由は「賃金節約のため」が38.8%でトップです。2位が「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」で33.4%、3位は「即戦力・能力のある人材を確保するため」で31.1%でした。

正社員には、労働契約法が定める解雇権乱用の法理で強い雇用の保障があり、企業は簡単に解雇ができません。加えて正規と非正規の給料差があります。人件費などの固定費を減らしてコスト削減を図りたい企業としては、非正規社員を増やす傾向にあるのが今までの流れのようです。

「非正規雇用の現状と問題」という厚生労働省の調査では、非正規社員の割合は1994年以降徐々に増加。現状では、雇用者全体の4割を占めています。今や5人中2人が非正規社員で、非常に高いといえます。

ただし、非正規雇用のすべてがデメリットというわけではありません。労働者側にも正社員より柔軟で多様な働き方ができるというメリットはあります。子育てや介護問題などから、1日8時間、週5日で40時間という正社員のようには働けない労働者もいるのです。

非正規雇用が増加することで生じる問題点

自ら望んで非正規雇用になる場合を除き、不本意ながら正社員になりたくてもなれない非正規社員が増え続けると、ますます社会的な格差が広がるという問題がでてくるでしょう。非正規で働いている社員の中で、実際には正社員を望んでいるという「不本意非正規雇用労働者」の割合は2014年には18.1%に上っています。現状では、非正規社員の約5人に1人が、実は不本意な働き方に甘んじているのです。

2015年に、34歳未満の若年層に占める非正規雇用者は521万人です。正社員を望みながら非正規社員として働く割合は、2016年の平均で25歳から34歳が最多の24.3%です。未来を支える若年層に、不本意ながら相当数の派遣社員や契約社員が存在すると見られています。

非正規社員の増加による格差の是正と課題

非正規社員には、低賃金や不安定な雇用のほか、能力アップの機会が少ないなどの問題が挙げられます。国税庁の2016年民間給与実態統計調査では、非正規社員と正社員の平均給与差は314万円でした。これは4年連続で差が広がっています。

この格差から、「結婚したくてもできない」「子どもが欲しくても産めない」など大きな社会問題となっている少子高齢化とも無関係ではないことがわかるでしょう。格差の拡大は一般消費者の購買力を低下させ、景気の悪化から企業の利益が減少するという悪循環に陥ります。

企業では、有期雇用の非正規社員がアップすることで長期的な展望での人材育成ができず、継続的な経済成長を脅かしています。そこには、かつて世界をリードしたようなイノベーション(技術革新)を生み出すような気風も育ちません。

政府の「働き方改革」の柱となる「同一賃金同一労働」などの施策で、早急な改善が望まれるところですが、厚生労働省は2016年1月に「正社員転換・待遇改善実現プラン」を発表しました。これは非正規社員の希望や意欲、能力に応じて正社員への転換や待遇改善を長期的に図るもので、企業にも取り組みが求められます。雇用の質だけでなく、生産性の向上にも寄与するもので、2016年4月~2021年3月までの5年を計画期間として実施されています。

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