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社会の価値観が変容する、働き方改革の概要とは?

(写真=vfedorchenko/Shutterstock.com)

2016年9月、総理官邸にて「働き方改革実現会議」が開かれ、これまでの長時間労働を改め、生産性を向上させるための具体的政策を作るための検討が始まりました。

働き方改革は、安倍政権が掲げる「一億総活躍社会の実現」のための最重要課題と位置づけられています。その概要を見ていきましょう。

政府の動き(働き方改革実現会議)

「働き方改革」という言葉が最近メディアでよく報じられている一方、安倍晋三首相が提唱する「新・三本の矢」という大きな政策スローガンはあまり聞かれなくなっています。「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の3つですが、これを実現するために「一億総活躍社会」を目指していること、そのためにはどうしても「働き方改革」に挑戦するべきであると位置づけられているのです。

「働き方改革」を進める事務局として、加藤勝信・一億総活躍担当相の下、「働き方改革実現推進室」が設置されました。開所式で安倍首相は「世の中から『非正規』という言葉を一掃していく。そして、長時間労働を自慢する社会を変えていく。かつての『モーレツ社員』、そういう考え方自体が否定される。そういう日本にしていきたい」と述べ、働く人の立場から課題解決に取り組む方針をハッキリと示しています。

「実現会議」は安倍首相の私的諮問会議で、閣僚のほか経済・労働団体の役員やエコノミスト、大学教授らが議員として参加しており、議員の一人には女優の生稲晃子さんもいます。会議では、労働に関する法律の改正案やガイドラインを設計するための議論や提言が行われており、2017年3月までに9回開かれました。

同時に、転職や離職を経験した人や先進的な働き方を採用している企業の社員など、労働の現場にいる人たちと安倍首相が、それぞれの体験を語りながら直接議論する意見交換会もこれまで4回、実施されています。ここで出たアイデアは実現会議での議論に反映されています。

具体的な内容

働き方改革にはテーマが9つあります。

1. 長時間労働是正
2. 同一労働同一賃金
3. テレワークや副業・兼業
4. 転職支援、人材育成
5. 税・社会保障の見直し
6. 子育て、介護、治療との両立
7. 高齢者の就業促進
8. 外国人材の受け入れ
9. 生産性向上や賃上げ

特に1と2については、大手広告代理店の新人女性社員が過労自殺したことや、非正規社員が増加して正社員との賃金格差が広がっていることが大きな社会問題となったことなどを受け、喫緊の課題として法改正を目指しています。

最新の動きとして、2017年3月17日に行われた会議では、時間外労働上限を月45時間、年間360時間としたうえで、労使で合意すれば月平均60時間、年間720時間まで認められ、繁忙期は特例で月100時間未満の残業が可能となることが決まりました。

働き過ぎを防ぐため、残業時間短縮に向けた指針策定を労基法に規定し、終業から始業まで一定期間を確保する「勤務間インターバル制度」導入を努力義務として定めることも決めました。政府は3月末に働き方改革全体の実行計画をとりまとめ、労働基準法など関連法の改正案を今年の国会に提出します。

なぜ今、「働き方改革」が必要なのか

第二次世界大戦の敗戦から日本が立ち直り、世界に名だたる経済大国の地位を築いたのは、ひとえに日本人の勤勉さがあったからです。ただ、右肩上がりで人口が増加し、働くほど豊かになるという時代は終わりました。少子高齢化と生産年齢人口の減少がますます進む中で経済成長を続けていくには、これまでのように一つの会社に長時間労働で縛られるという働き方を脱却しなければなりません。さもなくば、女性や高齢者の社会進出が妨げられるなど、さまざまな矛盾に対応することはできないでしょう。

働くことへの価値観も変化し、ワークライフバランスを重視する人も増えています。そうした人たちにも活躍してもらうためには、これまでの商慣習や労働慣行を改める必要があるでしょう。

また、非正規労働者が増加する中、待遇面で明らかに正社員との格差が広がり、彼らが将来に展望を持ちにくくなっているのも事実です。日本にかつて存在していた「分厚い中間層」を復活させ、消費を拡大させればGDPを引き上げることにもなりますし、所得が増加して家庭を持つ人たちが増えれば出生率アップにもつながります。

このように、日本を物心両面で豊かにするのが「働き方改革」です。余裕のある一部の大企業だけでなく、社会全体での意識変革が今、必要とされています。

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