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管理職に残業代はでる?労基法上の管理監督者との違い

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(写真=Shahril KHMD/Shutterstock.com)

管理職は通常の従業員とは異なり、組織の経営・管理のための強い権限を持つポジションです。民間企業では、主に課長より上の役職が当てはまり、労働基準法によって守られる権利が制限されることになります。

しかし、管理職といえども実際の働き方によっては、労働者と同じように扱わなければならない場合があります。今回は「管理職の残業代」というテーマを中心に、解説していきます。

労働基準法上の管理監督者とは

管理職という役職は、正式には「管理監督者」という名称で、政府の見解によると基本的に以下の要素を全て満たすことが定義とされています。

・ 労働時間、休憩、休日などに関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容および責任と権限を有していること
・ 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
・ 賃金などについて、その地位にふさわしい待遇がなされていること

「管理監督者」は、労働者というポジションとは異なり、より強い権限を有する役職であるため、労働者の権利を守る法律である労働基準法のなかには適応対象外の項目が存在します。逆に言うと、たとえ一般的に管理職と認識される役職であっても、現実の勤務形態が一労働者と大差のない扱いであれば、管理監督者と認められません。労働者としての権利が、全て適応されるということになります。

管理監督者には残業代の支払いは不要?

管理監督者は、労働基準法のなかでは「経営者と一体的な立場にある者」として表現されており、被雇用者のような弱い立場ではないため、権利を法律で守る必要性が薄いと解釈されます。

そのため、管理監督者に対しては残業手当を支払う必要がありません。その旨は労働基準法第37条と第41条に記載されており、その他管理監督者に適用されない権利については、労働基準法によると以下の項目が挙げられます。

・ 休憩時間を除き、1週間に40時間または1日に8時間を超えて、労働させてはならない(第32条1号2)
・ 1日6時間を超える労働には少なくとも45分、8時間を超える労働には少なくとも1時間の休憩を与えなければならない(第34条1号)
・ 少なくとも毎週1回の休日を与えなければならない(第35条1号)

ただし、通常の残業代は支払う必要がありませんが、深夜残業手当は支払う必要がある点には注意が必要です。

管理職と管理監督者は同じではない

管理監督者は、管理職と呼称されることも多いですが、企業や職種によっては管理職という名称のみが使われ、実態が伴っていないケースが存在します。実態が伴わない管理職の場合、管理監督者とは見なされず、労働者と同じように残業代を支払わなければなりません。主な判断要素については、以下の項目が挙げられます。

・ 職務内容について
アルバイト・パートなどの採用・解雇・人事考課・労働時間の管理権限の有無。

・ 勤務態様について
遅刻などに関する言及や人事考課でのマイナス評価の適用、労働時間の拘束、勤務内容の一労働者との相違の有無。

・ 待遇について
基本給や役職手当、賃金の総額、時間単価の一労働者との相違の有無。

実態を伴わない管理職であるにもかかわらず、残業代などの割増賃金の支払いがされていない場合は、民事裁判トラブルの原因となることも少なくありません。

例えば、東京地方裁判所で1997年に判決がでた「株式会社ほるぷ事件」では、管理監督者相応の権限を与えられていないにも関わらず、訪問販売の販売主任に割増賃金が支払われなかったことから裁判へ発展しました。

また、札幌地裁で2002年に判決がでた「育英舎事件」では、学習塾の営業課長は、権限・給与・勤務時間ともに管理監督者相応とは認められませんでした。管理職の権利について考えるときは、管理監督者に当てはまるような実態が現実に存在するかどうかを確認する必要があると言えるでしょう。

結局、管理職は残業代をもらえるの?

管理職は、深夜残業代ならば必ずもらうことができます。また、管理職であっても実態が伴っていない場合であれば、労働者と同じように時間外労働などの割増賃金も全て受取ることが可能となります。判例を確認すると、管理監督者と認められるのは想像以上に範囲が狭く、小規模の企業では社長のみが当てはまるという事態も考えられます。トラブルを防ぐためにも、実際の勤務形態と待遇について事前に確認する必要があると言えます。

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