ホーム > インタビュー、対談 > レシピ動画数世界No.1!「クラシル」を支えた人事のシゴト ―dely(株)新田慶秋さんインタビュー前編―

レシピ動画数世界No.1!「クラシル」を支えた人事のシゴト ―dely(株)新田慶秋さんインタビュー前編―

料理レシピ動画で瞬く間に人気となったサービス『クラシル』をご存知でしょうか。2016年2月のサービス開始からわずか1年半でレシピ動画数世界No.1サービス(2017年8月時点)となった『クラシル』の企画・運営を手掛けているのが、dely(デリー)株式会社。サービス誕生時は役員を含めて5名体制でしたが、現在は120名強(アルバイト含む)の規模に急成長しています。

この躍進の裏には、眠っていたマーケットニーズを掘り起こしたサービスの革新性もさることながら、企業経営の核となる人事制度にも秘訣が隠されているのではないでしょうか。そこで今回は、同社で人事を手掛ける新田慶秋さんに話を伺いました。

【Profile】
新田 慶秋(にった よしあき)
dely株式会社 経営企画部 組織戦略・採用リーダー
インターンから新卒で中小企業経営支援・起業家支援を行う(株)ビジネスバンクグループに入社。HR事業の立ち上げ等を経験。新卒入社4年目、最年少で取締役に就任。2017年4月からレシピ動画サービス クラシル を運営するdely株式会社に人事第1号としてジョイン。実家は長野で6代続く味噌屋。

■サービス黎明期から成果連動型の人事評価制度を導入

―新田さんが人事としてdelyに入社されたのは、2017年の4月ですよね。その当時、社内はどんな状況だったのですか。

新田さん:当時は『クラシル』がサービスを開始してから1年が経ったころで、社員数が5名から30名になるなど、急速に規模を拡大していました。それまでは役員の柴田が、営業と広報と人事とコンテンツの責任者を務めており、1人でかなり広い範囲をカバーしていました。更なる拡大を目指すためには役員が兼任している状態から脱して、専任のメンバーに権限移譲する必要があったんです。

―人事専門のメンバーがいなかったということは、評価制度なども曖昧だったのでしょうか。

新田さん:人事の知見がある僕もそう思っていたのですが、実際に入社してみると「思ったよりもしっかりしているな」という印象でしたね。これはdelyの経営陣にとても感謝していることでもあるのですが、彼らは経営の重要なリソースである人材をどうマネジメントするべきかにとても関心が高かった。Webサービス系の成長企業にコンタクトを取り、他社の人事評価制度について聞いてまわっていました。その結果、評価制度としてはOKRをdely流にアレンジした運用がスタートしていたんです。だから、経営目標に連動する形で組織目標や個人目標を設定する仕組みや、成果に基づいて個人を評価するやり方が出来ていた状態ではありました。

―OKRがdelyにフィットしているのはどのような点ですか。

新田さん:一番は、事業のスピード感に対応しやすいことです。スタートアップである当社においては、サービスを出してマーケットの反応を見ながら期中に事業戦略を変えていくことも当たり前にある。この状況で危険なのは、期初に立てた個人目標がいつの間にか事業戦略とズレてしまうことです。「いくら目標を達成しても、事業貢献の度合いはイマイチなので評価は低い」ということになりがちですよね。だからこそ、経営目標から個人目標までを一貫して連動させる必要のあるOKRは、メンバー一人ひとりが今注力すべきことを見失わないためにも有効だと感じていますね。

現状は、3ヶ月に1度の評価・振り返りを行っていますが、事業のスピード感で言えば、これでも少し遅いくらい。1ヶ月単位でものごとが変わることもあるので、人事としてはもう少し事業スピードにフィットしたやり方ができないか、検討もしています。

■トップダウンとボトムアップの両輪を成立させるための、ビジョン・ミッション

―では、新田さんが人事として取り組まれたことはどのようなことでしょうか。

新田さん:入社して約9ヶ月ですが、この期間で取り組んだ一番大きなことは、delyという会社としてのビジョン・ミッションの策定です。なぜこれが必要だったのかといえば、急速に社員数が増えていくなかで、小さな不具合が目につきはじめていたから。僕も含め大多数が他社から転職してきたメンバーで構成されている会社ですから、それぞれが独自の流儀や価値観を持っているなかで、目指す方向性を示す必要がありました。ビジョン・ミッションが言語化されていないと、メンバー一人ひとりにdelyらしい判断基準が備わらず、いつまでたっても経営陣のトップダウンに頼るしかなくなります。全員が自律的・主体的に事業を動かしていくためにも必要だったんです。

―ビジョン・ミッションを決めるにあたって、どのような点に注力されましたか。

新田さん:狙いはメンバーの自律性や会社としての一体感の醸成でしたから、経営会議で決めてしまうような一方的な押し付けに見えることは避けました。具体的には、社員全員で集まってグループワークをしながら、出てきたキーワードをもとに決定しましたね。また、ビジョンとミッションに紐づくものとして、「プリンシプルズ」という社内ルールも設けているのですが、これは業務上のルールやdelyメンバーとしての行動基準をまとめたもの。社内wikiのような形で、誰もが起案者となり、全員でつくっていくものと位置付けています。

―指針やルールを決める過程でもボトムアップの風土醸成を図られているのですね。

新田さん:経営の指示待ちになってしまうと、ものごとの動くスピードが遅くなってしまいます。それは事業成長にもブレーキをかけますし、個人の成長も阻害してしまうと思うんですよね。一方で、僕はトップダウンを必ずしも否定してはいなくて、勝負どころで一気にリソースを集中させたり、大きなリスクが潜んでいたらストップをかけたりすることも、変化の激しい今の時代には必要だと考えています。経営トップが登る山を指し示すけれど、登り方はみんなで創意工夫していくような、トップダウンとボトムアップの両立が、delyらしさだと思いますね。

━━インタビュー後編では、透明性の高い目標管理の仕方や、採用活動で重視している点など、急成長企業における人事の取り組みを伺いました。次回もお楽しみに。

>> 成長企業1,000社が導入している人事評価制度について知る

【オススメ記事】
【無料eBookプレゼント】従業員の潜在能力を引き出す、すごい仕組み
メルカリ人事 石黒さんが教えてくれた「超成長企業の人事評価制度」 -インタビュー前編―
残業削減を実現する風土づくりと人事評価 ~株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室 淑恵さん インタビュー前編~
「高プロ制度」は時期尚早。まずは管理職のスキルアップを ~株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役社長 小室 淑恵さん インタビュー後編~