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働き方改革は小さくはじめるのが鉄則!?―Chatwork山本社長インタビュー(後編)―

Chatwork株式会社といえば、過去に2年連続で社員満足度日本一の企業として選出され、注目を浴びた企業でもあります。1位に輝いた要因にはインタビュー前編でもお伝えした通り、「内側から幸せの輪を広げる」という考えが礎になっていることが挙げられるでしょう。それに加えて、具体的にはどのような活動・施策が行われていたのでしょうか。山本社長へのインタビュー前編に引き続き、後編では、同社の取り組みから従業員エンゲージメント向上の秘訣を探ると共に、働き方改革の正攻法についてもヒントをいただきました。

【Profile】
山本 正喜(やまもと まさき)
Chatwork株式会社 代表取締役CEO兼CTO
1980 年生まれ。電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中より兄とともに、EC studio(現Chatwork株式会社) を2000 年に創業。以来、CTOとして多数のサービス開発に携わり、2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の提供開始。Chatworkをビジネスコミュニケーションにおける世界のスタンダードにすべく、全社を挙げて取り組んでいる。2018年6月、同社の代表取締役CEO兼CTOに就任。

■モチベーションサーベイによって「職場の雰囲気」を可視化し、変えていった

――Chatwork社が社員満足度日本一に選ばれたのは、振り返ってみるとどんな取り組みによるものなのでしょうか。

取り組みのもとになっているのは、リンクアンドモチベーション社のエンゲージメントサーベイ(従業員のモチベーションや働き心地の調査)を導入したことですね。先ほど(前編で)お話したように、もともと私たちは社員満足を重視していたものの、定量的な調査をしてみると、個人や組織によって波がある状態だったことが可視化されたんです。

たとえば、ある項目が極端に満足度の低い女性がいて、その原因を探ってみると理由は席の位置だったことがありました。彼女の席はちょうど空調の風が強く当たる場所で、真夏に凍えながら働いていたんです。「早く言ってくれたらすぐに改善できたのに」と一瞬思ったのですが、ふと考え直しました。「真因は冷房が寒いことではなく、『そんな些細なことは言いにくい』と感じさせていること」なのではないかと思ったんです。

それからは、私たち経営陣が今まで以上に意識的に「どんな小さなことでも声を上げていい」という姿勢を示すように。根気よく続けていくうちに、みんなで職場を改善していこうという意識が根付き、今では現場で自主的に改善・解決されていることも多いです。

――働き方や環境が向上したことで、事業にはどのように影響しているのでしょうか。

大前提として、Chatworkのミッションは「世の中の“働く”を良くすること」。時代とともに言葉は変われど、社員にはこのメッセージを伝え続けてきました。それなのに、自分たちの“働く”が良くない状態でサービスを展開しようとすれば、「言っていることとやっていることが違う」とシラけてしまいます。

こうした意味でも、世の中の“働く”を良くする前に自分たちの“働く”を良くして、「ミッションを体現する」ことは重要。ミッションの意味に腹落ちし、自社サービスの価値・効力を実感することが、心から良い商品だと顧客に提案したり、もっと良いものを届けたいとサービスをつくったりする源泉になるはずです。

だからこそ私は、真の社員満足は単に給与を上げたり福利厚生を手厚くしたりすることでは生まれないないという考え。社員が会社のミッションを体現し、共感・賛同してくれる状態をつくることが大切だと思っています。

■「働き方改革」や「業務改革」の抵抗勢力は、こうすれば攻略できる

――今お話しいただいたChatworkのミッションは、「働き方改革」とも関連が深いです。多くの企業が経営課題として取り組みながらも、社内では変化を拒む “抵抗勢力”も出現して、進め方に悩む企業も多いと聞きます。どう進めたら良いと思いますか。

私の知見でお伝えしたいことはふたつあります。ひとつは、「昔に比べて、今のITは圧倒的に簡単で・安くて・高度なことができる」こと。今、会社の意思決定をするポジションにある人たちは、年齢的にいえばITがビジネスの世界に普及した初期の頃を知る世代。たしかにその頃のITは難解で、うまく使いこなせなかった経験が苦手意識に繋がっているのかもしれません。

けれど、今はシステムもデバイスも飛躍的に進化しており、3歳の子どもがスマートフォンのアプリを直感的に操作できるほど。昔は導入コストに数百万円かけていたものが、1ヶ月数百円から利用できるサービスもあります。リスクが少なくはじめられるので、まずは試しに使ってみてから判断されることをお奨めしますね。

ふたつめは、試しにやってみることとも関連しますが、「いきなり全社に導入しない」こと。これは当社のChatworkを導入いただくときの王道パターンでもあるのですが、はじめはやってみたいと前向きな5名程度のチームを1つ選抜して、その中だけで使ってもらいます。しばらく使ってもらって問題なければ対象を2~3チームに拡大。彼らが使い方に慣れた頃を見計らって、部門全体に導入するんです。すると、身近に詳しい人がいるので、新しく使い始める人たちの不安も少なく済みます。

こうやって少しずつ導入を広げていき、全社の半分くらいまで広がったところで後は一気にトップダウン。このときに社内コミュニケーションはメールを廃止したり、「チャットしか見ない」と社長や上司が宣言するのもポイントです。このように、チャットツールの導入に限らず、働き方改革や業務改革をする際は、「はじめは小さく」「最後は一気に」を心掛けるとうまくいきやすいですよ。

――本日は貴重な話を聞かせていただき、ありがとうございました。