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“人事を尽くして天命を待つ”余裕を。~松本隆博の「ng!相談室」その4~

松本隆博の「ng!相談室」は、仕事が出来る人の行動特性である「コンピテンシー」を用いてお悩みを解決するコーナーです。ng!はno goodではなく「never give up!」。会社員、経営者を経てシンガーソングライターになった松本さんならではの視点からみなさんに金言を授けます!

質問者
松本さん、こんにちは。私はBtoBの会社で営業をしています。松本さんはライブの前、不安になったり、緊張で苦しくなったりすることはありますか?

松本さん
それが、あまり緊張しないんですよ(笑)。

質問者
うらやましいです。今日ご相談したいのは、「不安との付き合い方」についてです。

質問者:24歳・会社員・女性 

私は、コンピュータ・OA機器メーカーの法人営業をしています。入社2年目になり、仕事にも慣れてきました。仕事はとてもやりがいがあり、人間関係にも恵まれています。今のところ仕事自体は順調ですが、扱う金額が大きくなってきて、先輩の同行無しに一人で客先に訪問し、納品まで担当をすることも増えてきました。私が今不安を抱えている原因は「営業予算(ノルマ)」です。動いている金額の大きさや関わっている人の多さに、いつか大きな失敗をしたらどうしようと怖くなるときがあります。メンタルが強い方ではないので、不調に陥ってしまったときの立ち直り方や、仕事をしていく上での気持ちの保ち方について教えてほしいです。


責任感の強い人が陥りやすい悩みですね。石橋を叩いて渡るタイプの子が、石橋を叩きすぎて割ってしまわないように、きちんと発散できる場所を見つけてほしいです。その点、彼女の場合、ストレッサーがノルマへのプレッシャーだということが分かっているので、数字に対する捉え方を少し変えてみてほしいです。

ノルマは大切です。まあ最近はあんまりノルマとは言わなくなりました、コミットメントとでも言うのでしょうか、やる事は同じですが笑。納期を守ることも大切です。責任感が強いのは素晴らしいこと。

でも、目標を達成できなくても、命を取られるわけではありません。

僕の転職時代のことをお話しします。2社目の企業にリーダー職で入社したとき、即戦力として実績を残さなければと鬼のような形相で働いていたことがあります。新参者にも関わらず、チームメンバーより高い給料をもらっている。そのプレッシャーで、「自分は期待されている」と過度に信じ込んでしまったんですね。休みもとらず必死に働く様子を見かねた上司が言ってくれたのが、上の言葉です。仕事は大切だが、失敗しても死ぬわけではない。もっと上司を頼れ、部下を信じろ、ということを教えてくれました。張りつめていた気持ちが楽になる言葉でしたね。それ以来、仕事をするときは個人単位で考えすぎず、チームの総力を重視するようになりました。

それから質問者さんの場合、メーカーの法人営業というB to Bの営業というのも一つの要因かもしれません。B to Cと比べて(現場の)お客様からの「ありがとう」が聞こえづらいんですよね。自分の努力が誰のためになっているかが見えない。だから、仕事の喜びが数字を達成することにすり替わりやすいです。数字だけを見て仕事をしていると、感覚が麻痺してきます。時には客先の社内を見学させてもらったり、クライアントとも商談だけでなくざっくばらんな会話をしてみたりと、自分の頑張りがどう形を変えて役に立っているのか棚卸しをしてみる時間があってもいいかもしれませんね。

一方で、B to Cには別の緊張感があります。お客さんの「ありがとう」が直接聞こえる代わりに、ネガティブな反応もビシビシ伝わってくるからです。僕にとって今やってる音楽活動のライブは、一回一回が特別で、毎回全精力を注ぎます。それでも「誰がお金を払っているか」によって、緊張度は多少左右します。僕の場合のB to Bは学校や自治体での講演やライブ。オーディエンスである保護者と子どもが直接お金を払っているわけではありません。一方、僕にとってのB to Cは、チケットを買ってもらうタイプのライブです。法人以上に、個人からお金をもらうって、とても難しい。チケット代に見合う以上の満足感を持って帰ってもらうためには、工夫しなければなりません。リピーターのお客様が、初めて僕の歌を聴く友達を連れてきてくれていたとしたら、その人の信頼を壊さないためにも絶対成功させなければ、とプレッシャーは高まります。やはり自らお金を払っているお客様の目は厳しいものがあります例えそれがワンコインであってもね。

かつての僕は、ライブの途中でお客さんが席を立つと、その原因が気になって仕方がありませんでした。ただ用事があっただけかもしれないのに。そのときの僕は、お客さんが100人いたら100人とも喜ばせたいと、想いが強すぎたんですよね。でも、それは傲慢だと気付きました。みんなそれぞれ自分の価値観や生活を持っている。バラバラの個性がそこにあるのに、自分のメッセージを100%全員に届けるのは、やっぱり無理なんですよね。他人が自分のことを見てくれている前提でいると、想いが届かなかったとき苦しいです。だから、期待半分くらいで構えておくのが丁度いい気がしますよ。

結果に拘りながらも、もう一人の自分で“人事を尽くして天命を待つ”的な余裕というか成熟した自分も必要だと思います。

「自分本位でいい“やりきった感”も大切だ!」

松本さん
キミに授けるコンピテンシーはこれだ!

「ストレス耐性」 A群:自己の成熟性
落ち込むことがあっても、素早く立ち直る力。プレッシャーは良い方向に作用されることもあるので、ストレスそのものを無くすことより、それにどう向き合うか、対処するかを考えた方がいいです。期待に応えなければというプレッシャーに潰されそうなときは、「そもそも人は他人にそこまで興味がない」ということを思い出してみてください(笑)。!

 

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【松本隆博の「ng!相談室」シリーズ】
・ちんけなプライドなんか、捨てちまえ!~松本隆博の「ng!相談室」その1~
・若者よ、パワハラに負けるな!~松本隆博の「ng!相談室」その2~
・神父のような上司を目指せ!~松本隆博の「ng!相談室」その3~